ビーズ屋黒猫Blog

彫金とワイヤーワークを融合させたい

急に寒くなりましたね。
数日前まで半そででしたが、今日は寒くてタートル着てます。
どうも私は首元が冷えると風邪をひいてしまうので、まだタートルには早いかなと思いつつ、着てしまいました。

さて、今日はちょっと長く語りますよ。
ずっと彫金とワイヤーワークは金属を扱うという点で共通していて、融合させて作品を作りたいと思っていて、ようやく念願だった彫金も習うことができて、そろそろワイヤーワークと融合させた作品を作ろうかなと思って試行錯誤しています。
なぜ彫金とワイヤーワークを合わせた作品を作りたいと思ったのか、そのあたりを今日は書こうかなと思います。

まず、彫金とワイヤーワークの作品の違いから。
彫金は金属の板やワイヤーで部品を作り、それをロウ付けという溶接のような技術でくっつけて固定していって一つの作品を作ります。
その際、金属をバーナーで熱して柔らかくしたり、溶かしたりします。
一方、ワイヤーワークはワイヤーで部品を作って、その部品同士を別のワイヤーで巻き付けて固定して一つの作品を作ります。
基本的にバーナーを使ってロウ付けするようなことはありません。
どちらが丈夫かといえばロウ付けする彫金の方が、ただ巻き付けて固定したものより丈夫です。
昔の遺跡の出土品の中のものの多くは彫金技術で作られたものです。

彫金は火を使いますので場所も選びますし、バーナーやそのほかの工具類をかなり揃えないといけません。
だから手芸のようにテーブルにちょっとそろえてやるということは難しいですね。
一方ワイヤーワークはワイヤーとペンチとニッパーがあれば作れますので、気軽に始めることができます。

彫金は、石を入れる土台を含めてすべての形が出来上がった最後に石をはめ込んで出来上がります。
はめ込んだ後、ちょっとここを変更したかったなと思っても、ロウ付けしているので、火を当ててロウ付けしたところを外してやり直しする必要あるので、修正は結構大変です。
ワイヤーワークは火を使わないので、作っている最中に石やビーズを入れながら作っていくことができます。
この時バランスを見ながら修正することも可能です。
また、どこが壊れてしまった場合でも彫金に比べると比較的簡単に修理することができます。
かの有名なコスチュームジュエリーの女王ミリアムハスケルは作品に対して壊れても修理可能なので、長く使ってもらいたいということでワイヤーワークで作った作品を多く残しています。

ワイヤーワークは気軽にできて技術を磨けば丈夫に作ることも可能です。
ですが、デザイン面でどうしても避けて通れないのが、部品と部品を繋ぐときにぐるぐる巻きつけて結束するので、その部分が目立つということです。
彫金の場合は部品と部品を隣同士に並べてちょっとロウ材を溶かせば接着剤のようにくっつきますので、結束バンドを巻き付けたようなデザインにはならないんです。
だから全体的な印象がすっきりして見えます。
よくわかるのが指輪ですね。
シンプルなリング台に石が一つというデザインをワイヤーワークでするとどうしても石の周りにワイヤーをグルブル巻き付ける箇所が出てきますので、ゴテゴテしてしまいます。

ワイヤーワークの方がきれいに見えるなと思うものは、ワイヤーを編んで細い線が均一に並んだ様子は、ワイヤーワーク方がより繊細で美しく見えると思います。
そして、もう一つタペストリーワークはワイヤーワークの良さを引き出している技術だと思います。
これは座金の上にワイヤーに通したビーズをびっしりと括り付けてできている作品です(渡辺マリのミリアム・ハスケルコレクションより)。
座金より上に盛り上がったように見せることもできて、きれいに並べると本当に美しんです。

こんな感じを彫金でやろうと思うと、爪留めや芯を立ててそれに接着剤で石やパールを接着するような方法がとられるのではないでしょうか。
こんな感じかな。(Jewellery through the agesより)
こんなにびっしり石を入れられるようになるには、もう職人レベルの熟練の技が必要ですね!

という具合に、美しさが違うんです。
シンプルな見た目で丈夫にしたいところは彫金を使い、線の美しさや彫金では表現できないタペストリーワークなどのワイヤーワークの美しさを入れたりした作品を作ったら、より幅広い表現ができるような気がします。

実際、ミリアムハスケルはどちらの技術も取り入れて作品を作っています。
コスチュームジュエリーだけでなく、私が作るようなペンダントトップでも海外の作家さんはうまく彫金とワイヤーワークを融合させている人がいます。
今回はシルバーでザクロモチーフのペンダントトップを作ってみました

石はワイヤーで挟んでいるのではなくて、覆輪留めという彫金技術の方で留めています。

裏も彫金で飾りをつけてみましたよ。
こういう平面に蔦柄を接着剤でつけるようにペタっと張り付けるということがワイヤーワークではできない彫金ならではの技術ですね。

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